秘密の片想い

 朝、起きるとシーの姿はどこにもなかった。
 もちろん莉乃ちゃんの姿も。

 膝から崩れるようにしゃがみ込むと、テーブルの上の置き手紙に気がついた。

『三嶋へ
 莉乃のミルクがなくなったので、取りに帰ります
 私も体調が怪しいので、病院に行きます
 三嶋も体を労って』

 夢じゃ、なかった。

 そう確信して、再び眠ることにした。
 長い眠りに、やっとつける気がしていた。

 目が覚めて、スマホを見るとケンケンから連絡が入っていた。

 突然、上野志穂を名乗る人物から連絡があり、俺がインフルエンザだと聞いたこと。
 怪しんで電話をすると、どうも本人らしく、俺の所属部署に休む旨を連絡してほしいと言われ、連絡したこと。

 そして、上野さんに会えたのなら、どうして報告をくれなかったんだと、文句が綴られていた。

 ケンケンからのメールを読んで、おかしくて笑えてきた。

 俺は、とんだ大馬鹿野郎だ。
 こんなの、まだ報告できるわけがない。
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