秘密の片想い

 体調はよくなりつつあった。
 けれど、どうせインフルエンザでは出勤できない。

 シャワーを浴び、服を着替えると幾分、スッキリした。
 そして、マスクをし、車に乗った。

 シーのアパートは、送り届けた時に知った。
 そこは希望生命で一緒に働いていた頃とは違う場所。

 現実を突きつけられるたびに、胸に痛みを感じた。

 俺から、逃げるように姿を消したシー。
 ケンケンや、スッチーさえも事情を知らなくて。

 アパートのドアの前で深呼吸をして、インターフォンを押す。

 けれど、応答がない。
 スマホもダメだ。
 新しい連絡先を知らない。

 体調が怪しいと、置き手紙にも書いてあった。
 心配になり、ドアノブに手をかけて、ハッとする。

 開いている。

 慌ててドアを開いて中に入ると、ワンルームのアパートはすぐに部屋の中が一望できた。
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