秘密の片想い

「俺、シーに好きだとか、愛してるって言ったよな?」

 突然、恥ずかしくなるような台詞を吐かれ、度肝を抜かれる。

「な、んの、確認?」

「いや、伝わってないんだと、思って」

 私は意味がわからなくて、彼を見つめる。
 三嶋は額を覆うように手を当てて、思いを吐露した。

「なにも言わずに帰ったのは、悪かった。仕事の関係で、急な呼び出しがあって。でも、俺は伝わっているとばかり……」

 私はなにを言えばいいのか、言葉を詰まらせる。

「俺はシーが大切で、だから莉乃ちゃんの父親になれたらと思った。それは自然な流れじゃないのか」

 私はゆっくりと頭を左右に振るう。

「そんな一時の感情で、簡単に決められることじゃないよ」

 絞り出すように言った声に、同じように真剣な声で返ってきた。

「簡単に、決められるわけないだろ。俺が、どんな思いで……」
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