愛は惜しみなく与う④
杏、もういいよ
いつもより覇気のない朔は、あたしの腕を掴んだ。

「きっとこいつに何を言っても伝わらない。大和は…俺みたいに、教えてもらえなかったんだ。俺も泉に会わなきゃ…ずっと何かを恨んでたから」


「俺が可哀想みたいな言い方するな!」


「可哀想だよ?俺もお前も。でも俺はもう、可哀想なんかじゃないから」


朔は切ない顔で少し笑った



「俺はもう、自分の力を誰かを傷つけるために使わないって。大事なものを守るために使うって教わった。仲間ができた。守りたいと思える人もいっぱいできた」


だから俺はもう

可哀想なんかじゃないんだよ


そう語った朔は


弟に語りかける兄のように見えた

そして一軒の家の前に立つ
庭は少し荒れていて雑草が目立つ。
家の壁も汚れていて、あまり手入れされていないのか、ポストにもチラシがぎゅうぎゅうに詰められている


ここに
朔は住んでたんやな


隣の朔をみると少し震えていた
あたしは朔の手を握ることしかできないけど

それが少しでも勇気になるのなら
あたしは朔の手を離さない
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