イルカ、恋うた
背筋に冷たい水滴が落ちていった。


自分も外に出た後、会議室のドアに背を付け、立ちすくんでいた。


釘を刺された胸が痛い。


だからだろうか、何も知らない岩居さんが、「どうした?」と肩を軽く叩いた痛みが、心地よく感じられた。


係長が残した言葉と内容を簡単に話した。


すると、岩居さんは難しい顔をした。


「十三年前とはいえ、警察のメンツに関わるからか……。

係長がそう言ったのなら、佐伯検事正の耳には、どこまで伝わっているんだろうな。

ましてや、娘の警護にお前を戻した……監視するつもりだったか。余計な暇をお前に与えない為か……」


それを聞く中、俺は岩居さんの顔すら見られなくなった。


「……彼女のことは、一旦置こう。もう一度、会議室に入ろう」


彼に従い、中に戻った。


「岩居さん?なんでしょう?」


「お前が、伊藤弁護士らと調べていることだ」


「知っていて、黙認していたんですか?」



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