溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~【番外編】
出張中もメッセージをやり取りしていたし、スマホで顔を見ながら会話もした。けれど、お互いの体温を感じられないのは物足りない。
「私も会いたかった」
左薬指に触れる温もりを心地よく思いながら、拓海さんを見上げた。すると背中に逞しい腕が回り、端整な顔が近づいてきた。
今は仕事中なのに……。
そう思っても、愛しい人から求められたら拒めない。
徐々に迫ってくる唇を受け入れるために、ゆっくりと瞼を閉じた。でも……。
「専務。社長がお呼びです」
ノックの音とともに、広海さんの声がドア越しに聞こえてきた。
「……っ!」
肩を跳ね上げ、拓海さんから慌てて離れる。
婚約していても、業務中は上司と部下。専務室でイチャついている姿を広海さんに見られたら、なにを言われるかわからない。
「続きはまた後で」
「は、はい」
拓海さんが慌てる私を見て、クスッと笑った。