みだらなキミと、密室で。

「あの時どうだったとか、こんな間違いしちゃったからとか、どーでもいいんじゃないかな。遥琉くんと海風のその特別な関係みたいなのがすごく大事だったのはわかるけど」

「えっ……」

「“今”遥琉くんがどう思ってるか、じゃないの」

「……今、」

「そりゃ、こじらせすぎて奇妙な行動したのは恥ずかしいけど……」

「奇妙……」

言われた言葉を復唱してますます恥ずかしさで消えてしまいたくなる。

飲んだコーラが逆流しそう。

そりゃ奇妙だわ、突然、キスして暴言吐いて、てめぇのせいでスマホ壊れたから弁償しろとか。

とにかく海風を離したくなくて、俺だけを見てほしいって気持ちで必死で。

「私だって、あの頃憧れてた遥琉くんの本性がこれなんだと思うと、ね。ちょっとはこっちの身にもなって」

「引いてんの……?」

「ちょっと。……いやだいぶ」

「死にた……」

「いやでも生きてもらわないと困るよ。私、散々、海風の変わりとして身体かしてあげたんだからさ。このまんまだと私だって報われないよ」

「それは本当に、なんと謝罪すればいいか」

「謝ったら許さないからね?」

そう言った松本はチューと勢いよくオレンジソーダをストローで吸う。
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