みだらなキミと、密室で。

本当に?
海風に触れても許される?

海風とずっと同じ気持ちだったかもしれない。

そう考えるだけで泣きそうで。

正直、夢なんじゃないかと思う。

だったら覚めないで欲しい。

「……っ、ずっと、海風が好きだった」

ずっとずっと言えなかったこと。

考えない日なんて一度もなかったよ。

初めて彼女の目の前で口にして、若干声は震えた。

喉の奥になにか詰まったみたいな感覚と同時に目頭が熱くなって。

「……私も。遥琉が好き」

「……っ、」

幸せすぎて、信じられなくて。
こっちまでさらに泣きそうになる。

そもそも俺の方が昔から泣き虫なんだから。

中身なんてなにひとつ変わってない。
泣き虫で臆病で、自己中なまんまだ。

涙ぐんでる彼女の頬を優しく包んで、さらに身体を引き寄せる。

そして。

お互いの息がかかる、ほんの数センチまで顔を近づけて。

涙を流しながら目を伏せてる海風は、あの日と重なった。

それでも、あの時と違う。

もう同じ失敗は二度としない。

もう絶対、離さないから。

俺は、海風の柔らかい唇に自分の唇を重ねて誓った。
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