再会~俺のONLY ONE ~何があっても離さない~


先輩のマンション。
クリスマスイブなのに、ひっそりと2人、ダイニングテーブルに座っている。

1日誰もいなかったマンションはエアコンを今入れたところで、寒々としていた。

先輩がコーヒーを入れるといったのがもう出来上がって、ホカホカと湯気を立てながらわたしの前と、その向かいにトンと置き、先輩はその前に座った。

「菜莉。何があったのか…話してほしい。今日泣きそうな理由を。」

そうだった。
わたしは高校の時、何も先輩には話さなかった。

なんで、他の女の子に優しくするの?
なんで、他の女の子のスキンシップ振り払わないの?
なんで、わたしの靴箱に画鋲入れた女と笑ってるの?

心の中で思ってても、いつも先輩の前では何も言わなかった。
それで、先輩の前で笑っていられなくなって、だんだんギクシャクしていって…

「今週、先輩がニューヨークいってる間にいろいろなことが重なって…しんどくなっちゃって…」

「いろんなことって何?」

「また女の世界ってヤツです。管理部の松田さんたちにトイレで悪口吐かれて、今日帰りのエレベーターで、ムカつくから身の程しれって言われて…」

「で?」

「も、ちづきさんに…いろいろ。」

「あーアイツか…」

先輩が頭を抱えた。

「先輩は呼んだらすぐ来てくれるとか、セ、ックスうまいでしょとか、時々貸してねとか…」

先輩は絶句して頭をいっそのこと抱えてる。

「まあそんなこといいそうだわな。あの女なら…」

「はい。こんなことで…悩んでました。ごめんなさい。」

「なんで謝んの?」

先輩が顔を上げてわたしを見つめた。

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