一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
6,タヌキ寝入りしていたら……
「匡、お疲れさま」
囁くような璃子の声がしたかと思ったら、俺の唇になにか柔らかいものが触れてハッとする。
タヌキ寝入りも楽じゃない。
しばらくじっと動かずにいると、彼女の寝息が聞こえてきた。
それで目を開ければ、璃子は俺の方に身を寄せてすやすやと眠っている。
璃子が俺にキスをしたーー。
その予想外の行動に戸惑いを感じずにはいられない。
彼女が小さい頃から俺のことを好きだというのはなんとなく気づいていた。
告白されたことはないが、璃子の俺への眼差しでわかる。
俺のことが好きだって……。
だが、年上の男に憧れることはよくあることだし、そのうち恋人を見つけると思っていた。
璃子ほどの容姿なら男だって選び放題のはず。
俺が女たらしなのは知っているわけだから、頭のいい彼女ならもっと誠実な男を選ぶだろう。
そのうち恋人を紹介されるのを待っていたのだが、誰からも璃子に恋人ができたという話は聞かなかった。
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