一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
「なんでお兄ちゃんが帰って来てるの〜?私、何も聞いていないんだけど」
「俺も聞いてないし、璃子がここにいるなんて話していない」
困惑しながら璃子と顔を見合わせる。
「……きっとお母さんから聞いたのね」
呟くように言って彼女はその綺麗な漆黒の瞳を曇らせた。
すると、今度は玄関のインターホンが鳴る。
「もう来たのか」
疲れて帰って来たところにあいつの相手。
ヘビーだな。
俺が玄関に向かうと璃子もついてきた。
玄関の鍵を開けるとすぐに、京介が飛び込んで来て璃子に抱きつく。
音楽室に飾られているベートーヴェンのようなカールした黒髪がトレードマークの彼。
目は璃子と比べると切れ長でキリッとしていて見目もいいから、女にモテる。
仕事はクールなのに愛する妹の前だとダメ男になる。
「璃子〜、九ヶ月と二十三日ぶり。会いたかった〜」
感動的な兄妹の対面……とはならないのがこのふたり。
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