一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
匡の姿が消えるのを確認すると、兄に視線を戻し、私もカーペットの上に座る。
「お兄ちゃん、どうして急に日本に戻ってきたの?」
「それは匡から璃子が髪切ったって連絡がきて……ずっと伸ばしてきた髪切るなんておかしいって思ったから……それで母さんに電話して……ううっ」
理由を説明しながら泣き出す兄。
匡ったら余計なことを。
「私の病気のこと聞いたのね」
それは質問ではなく確認。
私の言葉に兄はコクッと頷く。
そう私は胃ガンなのだ。
しかも末期で、今年の六月に余命半年と医師に告げられた。
正月休みが終わった辺りからお腹が痛くて病院を何か所か受診したけど、ただの食あたりと言われ、大学の後期試験の時に倒れて救急車で運ばれて……。
その時一緒にいた直君が救急車に同乗して、うちの両親にも連絡をしてくれたらしい。
詳しく検査したら胃ガンだった。
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