一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
「これは……その……何かで擦れた!?」
慌てて言い訳しようとしたら、久野先生が近くにいて直君の肩を叩いた。
「やあ、八神君、後で研究室来てくれる?」
「はい。じゃあ、僕は図書館に寄るので」
直君は私達に手をあげて、図書館の方に歩いていく。
先生とふたりになり、昨日のこともあって少し気詰まりを覚えた。
多分さっきの直君とのやり取りを聞かれたかも。
「佐々木さん……昨日はその……」
先生も緊張した面持ちで私に声をかける。
匡……私に勇気を下さい。
ネックレスのペンダントトップに触れ、先生をまっすぐに見てニコッと微笑んだ。
「先生、昨日はお酒を飲み過ぎたんですよ。ほら、早く準備しないと講義に間に合わなくなりますよ」
「ああ、そうだね」
久野先生は少しホッとした様子で頷く。
なんだろう?
ネックレスをしているせい?
匡にずっと守られているような気がして心強かった。
< 177 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop