一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
璃子がうちに来てからあと一週間で三ヶ月になろうとしている。
短かった彼女の髪も今では肩まで伸びた。
璃子との生活は楽しくて時間が経つのをついつい忘れそうになるが、彼女の誕生日であるクリスマスイブが近づくにつれ、日々不安というか恐怖を感じている。
医師から告げられた余命宣告が正しいとするならば、彼女はあと少ししか生きられない。
璃子が死ぬということは、彼女がこの世界から消えてしまうということ。
考えるだけでも怖い。
俺がそう思うのだから、璃子はもっと恐怖に怯えているはず。
なのに、彼女は俺に病気のことを打ち明けない。
俺も知らない振りを続けて来たのだが、それも限界に来ている。
「近いうちにちゃんと話をしないとな」
璃子の寝顔をじっと眺める。
今の彼女はまだちょっと痩せてはいるが、すこぶる元気で、末期ガンとは思えない。
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