一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
「明日絶対に帰れよ」
匡はギロッと私を睨みつけると、リビングを後にする。
そんな彼の後ろ姿を見ながら心の中で呟いた。
出て行かないわよ、匡。
ちょっとだけ、私の我儘に付き合ってね。
きっと彼は私のことを面倒なガキが来たと思っているに違いない。
いつだって私のことは子供扱い。
二十歳を過ぎて大人になったのに、彼は女性として私を見てはくれないのだ。
本当は彼に抱きついて甘えたかった。
でも……そんなことしたら、匡に変に思われる。
弱い自分は決して見せるな。
久しぶりに匡に会えたんだよ。
それだけでも幸せじゃない。
こんなに近くにいられるんだもん。
これ以上望むのは贅沢だよ。
あなたのそばにいられるだけでいい。
それに永遠は望まない。
今年のクリスマスが来る前に私はここを出ていくつもりだ。
彼にはいつも笑っている私を覚えていてほしいからーー。
< 19 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop