一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
「大丈夫です。璃子さんがいらっしゃる前は匡様が朝食を召し上がっていないのは日常茶飯事でしたから」
彼は終始にこやかに返すが、落ち込まずにはいられなかった。
あ~、匡をパーフェクトな形で送り出したかったのに。
長谷川さん、いっそのこと、“役立たず”と罵ってください。
しゅんとしている私の肩を匡が背後から叩く。
「俺は幼児じゃないんだから。朝食くらいでそんな大騒ぎするな」
「じゃあ、なんのために私がここにいるのよ。匡にご飯作るためよ。ああ〜、なんで寝坊したんだろう、私」
これが本当の家政婦さんなら厳しく注意されているはずだ。
昔は早起きに自信があったのに、今はアラームなしでは起きられない。
だから目覚まし時計をセットしたはずなのだけれど。
思い通りにならない自分の身体に苛立ちを感じていたら、匡が驚きの発言をした。
「俺が目覚ましのアラーム解除したんだ。目覚ましの音煩いからな」
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