一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
「え?匡が解除したの?アラームが煩いから起きるんじゃないの。なにわけのわからないこと……!?」
私がボケてたわけじゃないんだ。
匡に文句を言おうとしたら、彼が私の唇に指を当てて止めた。
「お前の小言に付き合うと遅刻する。ほら、ネクタイ結べよ」
その命令に、沈んでいた気持ちが急浮上する。
朝食は作れなかったけど、ネクタイだけでも結びたい。
「はい、やります」
匡のネクタイを手に取ると、彼はもう日課になっているせいか、なにも言わなくても少し屈んでくれた。
「今日も綺麗に出来た。行ってらっしゃい。明日はちゃんと朝食作るからね」
うまく結べてちょっとご機嫌な私は笑顔で見送ろうとしたが、彼が面白そうに目を光らせて私の前髪を突いた。
「はいはい。ところでお前、前髪がはねてる」
前髪がはねてる?
彼の指摘に青ざめ、慌てて前髪を押さえる。
「やだ、そういうことはもっと早く言ってよ〜。長谷川さんに見られた〜。恥ずかしい〜!」
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