一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
苦笑いしながら落ちた物を拾い集めると、先生も屈んでスマホを拾ってくれた。
「はい、これも。ヒビは入ってないみたいだけど」
「あっ、ありがとうございます」
久野先生からスマホを受け取るが、彼は私を見つめたまま手を離してくれない。
「あの……先生……手」
躊躇いながら声をかけたら、先生はハッとした顔をして謝り、私の手をパッと離した。
「あっ、ごめん!」
先生どうしたんだろう?
年末忙しくて疲れてるのかな。
スマホをバッグに入れてコートを手に取ると、先生に向かって一礼した。
「お世話になりました」
「あっ、うん。気をつけて帰って」
ぎこちなく挨拶する先生。
そんな先生ともお別れだ。
研究室を出るが、正門までのなんでもない道のりも歩いているとなんだか愛おしく思えて目頭が熱くなった。
正門に着くと、ペコッと頭を下げる。
卒業は出来なかったけど、いっぱい学ばせてくれてありがとう。
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