一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
璃子の手を引いて足早に研究室を出ると、彼女に厳しい口調で言った。
「ったく、久野さんには気をつけろって言っただろうが」
「ごめん。匡はどうして先生の研究室に?」
璃子は申し訳なさそうに謝ると、俺に質問してきた。
「お前がなかなか戻って来ないから、守衛さんに事情を話して久野さんの研究室教えてもらったんだよ」
仏頂面で答える俺の目をしっかりと見て彼女はもう一度謝る。
「そうだったんだ。心配かけちゃってごめんね」
「もういい」
また口を開けば、今の自分の感情を彼女にぶつけてしまいそうだった。
好きな女が美人だと悩みはつきない。
これが嫉妬というものか?
大事な女に手を出されそうになって平静ではいられない。
それと、自分に対しての苛立ち。
俺も最初から彼女と一緒に研究室に向えばよかった。
そしたら、さっきのことは防げたはず。
璃子だって嫌な思いをしなくて済んだ。
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