一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
車に乗るが、真っ直ぐ家に帰る気にはなれなかった。
海に向かって車を走らせると、隣に座っている璃子が俺に話しかけた。
「ねえ、この道、違うんじゃない?」
「ちょっとドライブしよう。せっかく車を出したんだから、ただ帰るのもつまらない」
本当はムシャムシャしてるからドライブして嫌なことを忘れたいだけなのだが、俺の説明に彼女はにこやかに相槌を打つ。
「夜のドライブか。いいね」
車の窓から夜の景色を眺める璃子。
久野さんに襲われたショックはさほどないようで安心する。
あと何回こうして彼女とドライブ出来るだろう……って、俺はバカか。
彼女がいなくなるなんて考えるな。
一年後だって十年後だって彼女は俺のそばにいる。
そう自分を叱咤すると、運転に集中した。
しばらくして海ほたるパーキングエリアに着き、駐車場に車を停めた。
「ここで休憩」
璃子に声をかけると、彼女は嬉しそうに笑った。
< 218 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop