一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
「海ほたる来たの始めて」
「寒いからコート忘れずに」
今日はボーッとしている璃子に少し厳しい口調で言うが、彼女は浮かれた顔で返事をする。
「はーい」
なんか見ていて危なっかしい。
車を降りて助手席側に行き、彼女の手を掴んだ。
「展望台に行ってみよう」
そのまま璃子の手を引くが、彼女は俺を見上げて遠回しに抗議する。
「匡……あの……手を掴まなくても大丈夫だよ。さすがに迷子にならないから」
……こいつ、やっぱり全然わかってない。
カチンと来て思わず言い返した。
「迷子にならなくてもナンパされるかもしれないだろ?お前、警戒心が足りない」
俺の怒りを肌で感じたのか、彼女はうつむき加減に謝った。
「はい、すみません」
少し落ち込んだ顔をする彼女を見て、自己嫌悪に陥る。
余裕ないな、俺。
長谷川や直がこの場にいたら“嫉妬は醜い”って笑われそうだ。
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