一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
「ああ。起こして悪い。親父の代わりに福岡に行くことになって。明日の午後には帰るから」
手を動かしながら彼女に説明すると、彼女はベッドを抜け出して俺の元に来る。
「え?おじさま、なにかあったの?」
「ぎっくり腰だとさ。まあ大人しくしてれば治るから」
あまり気にしないように伝えるが、彼女は親父のことを思って心配そうに顔をしかめた。
「でも辛いだろうな。歩くのも痛そう」
「まあ、ゆっくり休めていいんじゃないか」
俺がフッと笑みを浮かべて見せると、彼女も微笑する。
「そういう考え方もあるか。今、朝食作るね」
張り切って寝室を出て行こうとする彼女を止めた。
「いや、飛行機の時間もあるからもう行く」
「もう行っちゃうんだ。大変だね」
驚く彼女の頭に手を置いて甘く微笑んだ。
「今日は土曜だし、お前はゆっくり寝てればいい。まだ八時だから」
スーツケースを持って玄関に向かうと、璃子もついて来た。
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