一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
でも、出掛け間際に抱き締められ、彼が出て行った時、喪失感に襲われた。
匡のことを頭から追い出そうと、日中忙しくしていたのだけど、夜になるとひとりでいるのが寂しくなった。
クタクタに疲れてしまったのに、目を閉じても身体中の神経が張り詰めるような感じがして何度も寝返りを打つ。
彼の不在に心も暗くなる。
「ダメだ。眠れない」
匡がいないと思うと、余計自分が死ぬのが怖くなる。
今目を閉じて寝てしまっても、明日がちゃんと来るのだろうか?
そのまま目覚めなかったら?
余命宣告された時から、死ぬのは覚悟していた。
でも、やっぱり怖い。
お風呂で身体があったまったはずなのに、身体が冷えていく。
このまま起きていれば朝がくる。
薄暗い照明の中、じっと天井を見ていたら、テーブルに置いておいたスマホが鳴った。
画面を見れば、匡からの着信。
時刻は午後十一時六分。
スマホを手に取り電話に出る。
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