一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
スーツケースを手に持ち、玄関を出てエレベーターで一階に降りると、もうすっかり顔見知りになったコンシェルジュのお兄さんに匡に渡してもらうようマンションの鍵を預けた。
タクシーで東京駅に向かい、リムジンバスに乗って成田空港まで向かう。
家には帰らなかった。
誕生日はイギリスでひとりで迎えようと決めていたから。
自分が弱って死んでいく姿を両親に見られたくない。
航空会社のカウンターに行くが、もう今日はロンドン行きの飛行機はなく、次の朝九時出発の便を予約した。
ホテルに泊まろうと思ったけれど、ひとりベッドで寝るのが怖くて、空港のベンチに座って自分のフライトをじっと待つことにした。
空港の時計を見ると、午後七時過ぎ。
今日は匡は大阪に行くし、私が出て行ったことにすぐには気づかない。
ずっとベンチに座って飛行機の離発着を眺めていたら、十一時過ぎに匡からラインが届いた。
【今どこにいる?またソファか?】
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