俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「と、年上の男性ですし」

一番無難な理由を挙げる。


すべてがいきなりすぎて理解が追いつかない。

それでなくてもこの状況すらまだ現実とは思えずにいるのに。


十代のデートでもないのに、昨夜は緊張してなかなか寝つけなかった。

何度も撮影会の見学だ、デートだなんてただのこじつけだと自分に言い聞かせた。


「敬語をやめないなら、ここで抱きしめようか」

そう言って髪から指を外し、うなじに長い指を添えてくる。

「わかりました、努力しますから離れてください!」

焦って早口で返答する。

汗もかいているのにそんな場所に触れないでほしい。


この人は私の羞恥心の限界を試しているの?


「本当に可愛いな」

囁くと、クスクスと笑い声を漏らす。


もう何度「可愛い」と言われただろう。

心の許容範囲を超えている。


「も、もう行きますよ」

周囲から幾つかの強い視線が向けられているのは、きっと勘違いではない。

指を絡ませたままだけど、今はそこにかまっている余裕はない。

この人はただ立っているだけで注目されるのだから。
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