俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「突然会社まで押しかけてしまって、ごめんなさい」

目的地に到着し車を降りる際に、再び声をかけられた。


目の前には年季の入った荘厳な洋館のような建物があった。

確か愁さんの会社にも突然やってきたと聞いている。

この人も思い立ったら即行動するタイプのようだ。


「お席はこちらになります」

店内に促されると、従業員とおぼしき男性に奥まった個室に案内された。

室内にはテーブルと四脚の椅子が置いてあった。


「どうぞ座って」

素直に向かい側の席に着くと、唐突に言葉を投げかけられた。


「どうしてあなたは愁くんに愛されるの? 愁くんは女性に振り回されたり、取り乱したりしない。あんなに優しい目で女性を見るなんて、一度もなかった」

強い口調で言い募る。

そこには普段のたおやかな印象はまったくなく、まるで宿敵のように睨まれた。

嫌な汗が背中を伝うのを感じた。


「一時、両親に強く言われて愁くんと一緒になろうと思ったの。恋人とも別れた直後だったし……自慢の大好きな幼馴染みだったから、それほど反発心もなかった。でも、私たちは恋人同士にはなれなかったわ」

目つきとは裏腹に、細々と語る声は震えている。

その姿は幼い少女のようで抱いていた恐怖心が少し和らいだ。
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