俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「あの、辺見さんは立花さんが……今も好きなんですよね?」


静かに尋ねるとビクリと肩が揺れ、小さく身じろぎして頷く。

辺見さんの目から大粒の涙がこぼれ落ちた。


「だけど、好きになってもらえないの。きっと今回の一件でもう婚約は破談ね。最近ずっとすれ違ってばかりで、まともに会話もできていなかったの」

この人は好きな人の一番になれずにもがいている。


付き合っているのに、ましてや婚約までしているのに、ひとりきりを感じるのはどれほどの孤独だろう。

ふたりで堂々といられる立場なのに、ひとりきりで頑張り続けるのはとてもつらくて寂しい。


片思いという、立場こそ違えど似たような想いを抱いていた私には辺見さんの気持ちが少しわかる気がした。


好きな人に好きになってもらいたい、自分だけを見てほしい。

ただそれだけなのにどうして伝わらないのか。

そのもどかしさも切なさも今なら痛いほどわかる。


「……ふたりに迷惑をかけてしまって本当にごめんなさい。愁くんには婚約してすぐ、好きになる努力はできないって言われたの。確かにそうよね。誰かに恋をするのに努力なんて変よね」

あの頃はそんな当たり前のことすらわかっていなかったの、と辺見さんは寂しそうに眉尻を下げた。
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