俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「……社長。浦部様が驚いておられます」

津田さんが淡々といさめる。

「そうか?」

面倒くさそうに髪をかきあげると、長い指からさらりと艶やかな黒髪がこぼれ落ちた。

「あ、あの、先日はご迷惑をおかけしてしまって申し訳ありませんでした……介抱していただき、ありがとうございました」

頭を下げ、ずっと直接言いたかったお礼と謝罪を伝える。

これでずっと悩んでいた心のもやもやが消えるはずだと、勝手ながら少し晴れやかな気持ちになる。


「……あの日の記憶があるのか?」

「途切れ途切れですが……多大なるご迷惑をおかけしたんだろうと思っています」

恐る恐る頭を上げて彼を見つめる。


本当に整った容貌だ。

寝顔だけでも見惚れるくらいに綺麗な人だとあの夜、思っていた。

男性に綺麗はおかしいかもしれないけれど、思わず魅入ってしまう。


「泥酔した初対面の女がいきなりベラベラ自分の失恋話を披露して、それからずっと泣きどおし、挙句の果てには上着と靴を脱ぎ捨てて寝落ち、迷惑と言えば迷惑だな」

辛辣な発言に目をむくと同時に、自分の失態に言葉を失う。

多少の予測はしていたとはいえ、驚愕の事実に再び血の気が引いていく。


……パンストに穴が空いていた理由がよくわかった。
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