俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
ぐっと返事に窮する。

正論過ぎて反論できない。


子どもじみているとは思いつつも、唇を噛みしめて黙り込むと、突然手を伸ばされた。

あっさり長い腕に捕まってしまう。


再び正面から腰に片手を回され、目を見開く。

先ほどとは違う、速い鼓動が耳の奥で響く。

強引なようで、触れる手はとても優しく戸惑う。


感情がさっきから揺れ動きすぎてついていけない。

こんなに気持ちが上がり下がりした経験はない。


「な、なにを……!」

「ほら、また捕まった。無防備すぎると思わないか?」

不機嫌そうに眉をひそめているのに、口元は緩やかな弧を描いている。

声にも剣呑さはまったく感じられない。

むしろ面白がっているかのようだ。

「と、突然、こんな風に触れてくる男性はいません!」

必死で反論するとクックッとおかしそうに声を漏らす。

その様子になぜか胸が苦しくなり、言葉にならない感情に心が揺さぶられる。

頬が熱い。


一体どうしたの? なんで私は本気で怒らないの?


「ここにひとりいるけど?」

からかうような口調で返答し、空いているほうの手で私の頬にかかる髪をそっと耳にかける。

あまりに自然な仕草にビクッと肩が揺れる。


長く、男性らしい骨ばった指が微かに頬を掠めていく。

羞恥に思わずうつむいてしまう。

きっと今の私は耳まで真っ赤になっているはずだ。
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