俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
ふう、と重い息を吐いた。


ただピアスを返してもらうだけよ、深く考えるのはやめよう。

私には関係ない。

きっと親切心か気まぐれからの行動に決まっている。


自分に言い聞かせるように心の中で何度も呟く。


あれだけ魅力的な男性なのだ。

失恋したてで、醜態ばかりを晒した私なんて恋愛対象外だろう。


自分を無理やり納得させて、会社内にいます、と端的に返信した。

後でわかったのだが今回の来訪は、前回の経験からか我が社の上層部には前々から打診されていたらしい。

ただ女性社員からの熱い視線や無用な注目を避けるため、直前まで極秘にされていたそうだ。


社内の人目もあるのに、どうやってピアスを返してくれるつもりだろう。

津田さん経由になるのだろうか、とこの時は安直に考えていた。


私の部署は東京営業部とは違い、外部の人間は立ち入り禁止だし、応接室とフロア自体が違う。

そんなわけで板谷社長が来社しているかどうかは誰かから連絡をもらうか、本人から教えてもらう以外に知るすべはない。
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