俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「東京営業部の林さんから伝言です。依頼されていたものが届いたので至急来てほしいそうですけど……浦部さん、今、東京営業部の仕事なんて担当されてましたっけ?」

頭が痛い。

まさに噂をすれば影、だ。


周囲に詮索されないように絶妙な言い方を考えてくれた林さんの配慮はありがたいけれど、叶うなら全力で逃げ出したい。

ピアスを返してもらわなくてはいけないし、逃げられないとわかっているのに。


「ちょっと、ね……東京営業部に行ってくるわ」

鉛のように突然重くなった身体をどうにか動かして立ち上がると、由真ちゃんが明るく手を振って見送ってくれた。

階下に向かう足取りが重い。


早く向かわなくては、今度はどんな嫌味を言われるかわからない。

頭の中ではいかにこの面会を早く切り上げるかばかりを考えてしまう。


東京営業部内にある応接室を利用しているのだろうか。

どのみち向かってみなくてはわからない。


店舗の入り口近くには林さんが立っていて、案の定、応接室に向かうように言われた。

「板谷社長がどうしても浦部さんとふたりで話したいそうなんだ。本来はお断りするのだけど……扉は開けはなしているし、五分間だけという約束で部長が渋々了解したんだ。扉のすぐ近くに営業担当者も控えているから、なにかあったら声をかけて」
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