俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
やはり天下の板谷社長の信用はずいぶん高いらしい。

私が彼の姉と友人だという点も加味されているのだろう。

身の安全への適切な配慮をいただいてありがたいけれど、ただピアスを返却してもらうだけなので、そんな困った事態には絶対にならない。


林さんに頷いて、廊下の奥まった場所にある応接室の開け放された扉に小さくノックをする。

「失礼します。浦部です」

声をかけるとどうぞ、と穏やかな返事が返ってきた。

八畳ほどの広さのある応接室に足をゆっくりと踏み入れる。

入り口近くからは彼の姿を確認できない。


室内奥に置かれてあるソファに、板谷社長は長い足を組んでゆったり腰かけていた。

ただ座っているだけなのに、なんでこの人はこれほどまでに魅力的なのだろう。


薄いグレーの細かなストライプのスーツに、群青色の光沢のあるネクタイをしめている。

軽く伏せられた目を縁取る長いまつ毛が、頬に薄い影をつくる。

まるで彫像のように完璧な容貌だ。


瞬きを数回繰り返した彼が、視線を動かす。
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