さよならを教えて 〜Comment te dire adieu〜
「『うまくいってない』もなにも……」
わたしは母をじろり、と睨んだ。
「とっくの昔に別れてる、っての」
「でも、一緒に住んでるんでしょ?」
母が呆れたような口調で返す。
「一緒になんて住んでないよ、茂樹は今でも富多家に住んでるもん」
——たとえ百歩譲ったとしても「ルームシェア」よ。
うちには茂樹の部屋がないから、夜はいつもわたしのベッドに潜り込んでくるけど……
ウォーキングクローゼットだって、わたしと片面ずつ共有しているけど……
あっ、そうそう、家賃を折半していた!
——だから、やっぱりルームシェアよっ。
「まぁ……あんたがそれでいいのなら、別にわたしはなにも言わないけどね」