さよならを教えて 〜Comment te dire adieu〜
「……菅野先生がそのようにしたいという気持ちは、よくわかったよ」
そう言うと、父が備前焼のお茶を一口含んだ。
わたしもまた、目の前の波佐見焼を手に取り、お茶を飲む。
——と,とりあえず……
気を落ち着けなければ……
とたんに、口の中に上質な渋みが広がる。
お客様用としてストックされている茶葉の中でも、とっておきの玉露だった。
亡くなった祖母が好んでいた味だった。
「ありがとうございます」
菅野先生が今度は座ったまま、深く頭を下げる。
「だが……私は『君たち二人がそのようにしたいのならば、私がとやかく言うことではない』と言ったんだがね」
——えっ? どういうこと?
訳がわからず、思わず父の方を見ると、視線が合った。