さよならを教えて 〜Comment te dire adieu〜

「……菅野先生がそのようにしたいという気持ちは、よくわかったよ」

そう言うと、父が備前焼のお茶を一口含んだ。

わたしもまた、目の前の波佐見焼を手に取り、お茶を飲む。

——と,とりあえず……
気を落ち着けなければ……

とたんに、口の中に上質な渋みが広がる。
お客様用としてストックされている茶葉の中でも、とっておきの玉露だった。

亡くなった祖母が好んでいた味だった。


「ありがとうございます」

菅野先生が今度は座ったまま、深く頭を下げる。


「だが……私は『君たち二人(・・・・・・)がそのようにしたいのならば、私がとやかく言うことではない』と言ったんだがね」

——えっ? どういうこと?

訳がわからず、思わず父の方を見ると、視線が合った。

< 145 / 188 >

この作品をシェア

pagetop