さよならを教えて 〜Comment te dire adieu〜
まるで身を乗り出すようにして、OL風のかわいい感じの女の子が声をかけてきたと思ったら……
「……ななみん」
横にいる男が、彼女を抱きしめるようにして制する。
「もうほかのヤツを見るんじゃない。死ぬまでおれだけを見ろ、って言ったじゃないか。
おれだって、もう……死ぬまで、七海以外の女を見る気はないんだから」
そして、ふわっふわとした彼女のココアブラウンの髪の旋毛に、ちゅ、とキスを落とした。
茂樹から二席ほど離れたところで、互いのアームソファをぴったりとひっつけて座っていた男女だった。
「ねぇ……わたし、今日一日で視力ががくんと落ちちゃったのかな?」
わたしは、男の方をじっと見つめながら訊いてみる。
「学生時代、向こうから寄ってくる女は、みんな女優やモデル並みの女ばかりで、メール一つしない放置プレイがデフォのくせに、向こうが不満を言い出したら速攻で別れ話をし、どんなに泣き叫ばれようが縋りつかれようが、顔色一つ変えずにバッサリ切って捨てていた……」
男はさらに、彼女のぷっくりした桜色のほっぺにも、ちゅ、とキスしていた。
「……あの人造人間の田中くんにしか、見えないんだけど?」