さよならを教えて 〜Comment te dire adieu〜
「じゃあ、とりあえずさ、デートでも……って言いたいところなんだけど……」
気を取り直した菅野先生は(Apple Pencilで手書きできるため)メモ帳代わりに持ち歩いているiPad miniでスケジュールアプリを開くと、途端にうーんと唸りだした。
「……きみもおれも、一日まるまる空けられるお互い都合の良い日なんて、とてもとても無理だろ?」
デスクのMacBook Airでカレンダーアプリを開いたわたしも、こくこくこく…と首を縦に上下させる。
「それでも、なんとか食事だけでも都合のつく日ってあるかな?」
「そうですねぇ……あっ、この日はどうですか?」
「えっ、いつ?」
そうして、わたしたちはお互いのスケジュールとにらめっこをした結果、奇跡的に二人ともぽっかり空いていた来週の土曜日の夜、いっしょに食事へ出かけることになった。