さよならを教えて 〜Comment te dire adieu〜
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次の土曜日、あたしは休日出勤(きゅうしゅつ)してまでの仕事をなんとか片付けると、職場の法律事務所が入る(フロア)を出て、行きつけのヘアサロンがある六階へと移った。

ベリーヒルズビレッジのオフィスビルには、ライフサービスのエリアもあり、目指すヘアサロンはそこに店を構えている。

本当になんでも揃っていて、生活のすべてがベリーヒルズビレッジ(ここ)で事足りると言っても過言ではない。


受付を済ませて個室に案内されると、モデル
か?と見紛うような長身のイケメンの男性が、にこやかな笑顔で出迎えてくれた。

「いらっしゃいませ、光彩(ありさ)先生。どうぞ、こちらに」

マッサージチェアのような座り心地の良い椅子に促され、わたしは腰を下ろすと、早速首にふわりとケープが巻かれる。


「手っ取り早く全身コーデができて、しかも先にヘアメイクしてからでも着替えられるようにと思って、敢えてワンピースにしておきましたよ」

彼の視線の先には、ブティックに備えられているようなハンガーラックに掛けられたワンピースが五着ほどあった。

——それに、ワンピに合わせたヒールとバッグもセットされてる!


「ありがとう、龍生(りゅうせい)くん」

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