さよならを教えて 〜Comment te dire adieu〜

彼女はそう言うと、クロコ革のバーキンから同じくクロコ革の大きな長財布を取り出して、中から一枚カードを引き抜いた。

メタル加工されマットに光る黒一色のそのカードは「あさひJPN ロイヤル プレミアム」だった。

「あさひJPN プラチナ プレミアム」よりさらに上位の——いわゆる「ブラックカード」だ。


もちろん「招待制」である。

さらに今までのカードと違って、この「ロイヤル プレミアム」は(株)あさひJPNカードの母体である「あさひJPN銀行」の預金口座残高および外貨投資資金なども審査対象に含まれると噂に聞く。

——確か、年会費は国内最高の五〇万円だったわよね?

そして入会金まであって、こちらも五〇万円だった気がする。
しかも、これらには別途消費税が加わる。

「選ばれし者」だけが持てるカードとは、このことだ。


目の前に「君臨」する彼女は、勝ち誇ったように微笑んで、わたしを見下していた。

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