さよならを教えて 〜Comment te dire adieu〜
「さらに、家族会員であるうちはどんなにステータスのあるカードを、たとえどんなに長期間保持していたとしても、自身のクレヒスにはいっさい反映されません」
もし、家族カード以外のカードを持っていなければ「正会員ではない」ため、そもそもクレヒス自体が存在しないのだ。
俗に言う「スーパーホワイト」である。
カード会社から見ればまったく信用情報がない状態なので、カード発行の申請をしてもらっても「信用できない」のだ。
なので、債務放棄をした「ブラック」の人たち並みに審査が通らなくなってしまう。
どれだけ銀行口座に預金があろうとも、それはクレヒスには記載しないため関係ない。
(まぁ、取引先の銀行系カードなら融通して発行してもらえると思うが……)
ちなみに、各カード会社が照会するクレヒスを扱う指定信用情報機関であるCICやJICCは、実はクレジットカード情報だけでなく銀行ローンをはじめとする各種ローンや分割払いなどの個人情報も共有している。
だから、学生時代にスマホの分割払いを滞納したままにしていたので、いざ住宅ローンを申し込んだ際に融資が下りなかった、なんて悲劇が起こり得るのだ。
弁護士の身としては、配偶者がまだ現役バリバリのうちであれば、専業主婦でも世帯年収での申請ができるため(年金受給者でも発行してくれる場合はもちろんあるが、最近は年齢制限のあるカードが出てきていて、しかもポイント還元率の高いカードだ。若い方が入会できるお得なカードの選択肢が広がるのだ)年会費無料のものでいいからどれか一枚くらい「正会員」のクレカを発行しておいてほしい。
(あと、専業主婦じゃなくても、男性も女性も関係なく退職する予定のある人とか……離婚する予定の人とか)
なぜなら、これから確実にキャッシュレスの時代がやってくるからだ。
欧米では日本でPayPayや LINE Payなどで使われているQRコード決済はほとんど見られず、使い勝手が良くて補償の充実したクレカ決済——しかもIDやQUICPayなどのFeliCa方式ではなく——NFC方式と言われるタッチ決済(またはコンタクトレス決済)が主流である。
それが「世界基準」なのだ。
だったら、VISAやMasterCardなどの国際ブランドの付いた、銀行口座から即座に引き落とされる「デビットカード」でもいいではないかと思うかもしれないが(実際、キャッシュレス「先進国」のスウェーデンなどでは高齢者ほどデビットカードでの決済率が高いのだが)何かトラブルになったときの対応と補償額の上限は、まだまだクレカに及ばない。
「もしどうしても同等のクレカを持ちたければ、現実的には同等のクレカを持つ別の家族に、新たに家族会員として入れてもらうしかありません」
嫁ぐ前は「父の家族カード」、嫁いだあとは「夫の家族カード」、そして夫に先立たれたあとは「子どもの家族カード」という人生、というわけだ。
「あと、原則として家族会員が使った分の引き落としは『正会員の口座』からとなります」
『ここはわたしが持ちます』と彼女が言ったところで、実際には彼女の夫の口座から支払われるのである。