他校生
「紗香から見たら、ふっちーの隣の席の朱里みたいなもんだね」

「……え?」

「あ、うん。私、今ふっちーの隣の席」

紗香が目を見開いて


「う、う、羨ましい!」

「朱里は?」

「いや、どうでもいい。あ、何か諜報員としてはまぁ、隣でもいいなかって…」

「うん、紗香はAくん」

「ああ、まぁ、話しやすいヤツってとこはいいかなって思うけど…B子に微妙な態度取られるくらいなら別の席がいい。むしろ、テスト期間はありがたい」


「うん、だよね。それをB子に伝えたら?B子の気持ちは、朱里に置き換えたらわかるでしょ?」


「あ、そうか……面倒くせーって思ってたけど…」

「うん、朱里も思ってるかもよ?」
さっちゃんが状態ぽくそう言った。


「……朱里、本当にふっちーのこと……」
紗香が心配そうにそう言った。

「ないない!」

「うちの高校の人、本当だよね?」

「うん、本当」

私がそう言うと、紗香はホッとして

「ねえ、紗香が朱里をそうやって疑うようにさ、B子も紗香が本当に他高に好きな人がいるのか、疑ってるかもよ?自分の為に言えないんじゃないかなーって…」

「……え、まさか…」

「恋は火の無いところから煙を立てちゃうくらい…みんなおかしくなるもんだよ、話してみな。B子に」

「そうだね、ふっちーの事も、詳しく話してみる」

「そうそう、恋バナしてくれないのも、寂しいもんだよ」

そう言ってチラリとさっちゃんを見た。



「え!?いや、ちょっと私!?だ、だって言えなかった…朱里だってそーじゃん!」

「え、私は恋っていうか、格好いいなって…思ってるだけ…だし」


「今更ー!?」

「その顔で恋してないって言えると思ってんの!?」

二人がやいやい言い出して



「……勉強しなきゃね」

そう言うと、静かになった。




「今ので地理が飛んだわ」

「いーなぁ、さっちゃんは賢くて」

「スリランカの首都言えるんだよ」

「私だって言えるよ、スリジャヤワルダナプラコッタ」


「おしい!スリジャヤワルダナプラコッテ!てか、これ、中学の範囲だし!」


「覚えてねーし」


「アメリカの首都は!?」


「NY!」

「LA!」


「はい、中学からやりなおーし!」


「中学からやり直せたら……私は今頃N高……」


「はい、集中、集中!」


「くぅ、さっちゃんの恋バナ聞きてえ!」

「大人の階段一人で登ってずるい!」


「その件につきましては、中間後に」


さっちゃんがそう締めくくった。




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