他校生
今度は放課後。

靴箱でふっちーと一緒になった。


「今から部活?」


「そー」

「まだあるんだ」

「今週いっぱい。それからテスト休み」

「大変だね」


「本当だよ、全然勉強出来てねぇ。…腹減ったー」


昼休みにパンとデカイお弁当も食べてたけどね

ふっちーの足元を見ると…

スタンスミスの、後部分は赤。


「あ!その靴…」

「え、何?」

……ふっちーの靴だよね、あの彼と同じ……


「ふっちー、赤のバンプ履いてたよね」

「いや、1回しか履いてねーし」

「そうなの?学ランに赤のバンプってなかなかなセンスだなぁって…」

「うっせぇ、前の日、もう一個の靴……あ、まぁ、いいや」

「ははーん、さては…う○こでも…」

「この世に生み出されて4日目くらいの、カサッとタイプだからな!」

「え、本当に踏んだの!?」


「……」


「まぁ、ドンマイ!」

「あ、因みに、バンプはしゃーなしで履いてきただけだからな」


「色々、だっさ!」


「ッ!お前!」


「あはは!」


「誰にも言うなよ」

「踏んだこと!?あはは、そらそうだよ小学生じゃあるまいし、変なあだ名つけたりしないよ」

「う○こマンとか?」


「あはは!」


「あ、こんなとこで下品な奴に付き合ってる場合じゃねーわ、俺行くわ!えっと、前言って合同練習はテスト明けだかんな…石橋は…」


「紗香?来るんじゃないかな、K高だしね」

私がそう言うと


「ん」

と、エコモードで去って行った。



…確かに学ランに、あの靴はダサ…

なんてちょっと吹き出しそうになった顔を慌てて戻した。


誰かの足が…そこに見えた。



顔を上げると…

あの団体の前にいて、私を睨み付けていた女子だった。


ただ、今は…
何か言いたそうに立っていた。


「今西さん、渕上くんと仲良いよね」
ボソッとそう言うと、歩きだした。


彼女もたまたま帰宅時間が一緒だけだった様でホッとした。

並ぶでもなく、追い抜くわけでもなく

今日から“知り合い”になったもので微妙な距離感を保ちながら校門まで歩いた。

非常に、居心地が悪い。


「“ふっちー”って読んでたもんね」

また、ボソッと彼女がそう言った。


「え…うん、渕上って名字だと、だいたい“ふっちー”ってあだ名になるんじゃない?」

恐らく的外れだと分かっていても、この空気にいたたまれなくてそう言った。


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