他校生
「いつも誰かしらギャラリーがいるからそんなに目立たないと思うけど…」
結局、誰も疑って無いというのに
女バスの入部希望の見学に来ているさっちゃんに付き添った体
という設定で行くことになった。
「まぁバスケ部入部悩んでるのは事実で…出遅れたから、有難いけどね」
さっちゃんが了承した。
さて、私は
「朱里は門のとこで待ってて!」
「え、嫌だよ。私、制服じゃないし目立つでしょ」
「あ、制服かえっこしよう!」
紗香の、言葉を一蹴した。
「あのねぇ、K校の制服で校門にいる方が目立つ!」
「……確かに。」
「あ、でも折角だしK校の制服は着てみたい…」
「OK、じゃあ折角だし、街をうろうろしといて!」
そうしてその日がやって来ることになった。
「朱里ちゃん、ハンカチとティッシュは持ったの?」
一緒に、住んでる祖母は私が物事ついた時から出かける時は必ず言う。
「あのねぇ、おばあちゃん、私もう小学生じゃないんだか……あ…ハンカチない」
それ見たことかと言わんばかりの祖母の顔。
「大人になったものねぇ」
笑ってそう言われて、ハンカチを差し出された。
「……ありがとう」
年配ブランドの祖母ハンカチをポケットに入れた。
5月の陽気に…
今日は学ラン見れないなぁと
紗香を思った。
交換した制服姿で、街で別れた。
後は、帰りに報告を聞くだけ。
学校に着くと、額にじんわりと汗が滲んで祖母のハンカチに感謝する。
「何それ、ばーちゃんの?」
そう声をかけてきたのは……噂のふっちーだ。
「そうでーす」
ふっちーは私がこうして祖母のハンカチをしょっちゅう借りる事を知ってる。
「ねぇ、今日部活あるよね?」
「ああ、あるぞ」
「ふーん…」
「何だよ、それ」
「毎日熱心だなぁって…」
「まぁ、ね。スタメンだし、俺」
「嘘!?早くない!?」
「実力!」
そう言って笑った。
確かになぁ…同中だって言うと
“いいなぁ”って言われるくらい…ふっちーのファンは多い。
「お前はやらねぇの?」
「バスケはやるより見る方が好き」
「へぇ、じゃあ見に来いよ。今度3校合同の練習がある。多分ゲームもやるだろうし」
………紗香が喜ぶ情報…ゲットだぜ!
あ、また、制服の貸し出ししなきゃならないのかな?