他校生
私と快晴くんは……
だいたい放課後の待ち合わせは、あの本屋さん


今日も、そのつもりだ。



下校時間になって、逸る気持ちを大して抑えることなく教室を出た。



校門を出た、前を行く女子立ちが振り返り

はしゃぐように何か言ってる。


その次の女子達も。

男子も振り返ってる。



門のところ、何かあるのかな?



私もそこに差し掛かると、チラリとそちらを見た。


モスグリーンとグレーのチェックのズボン、ブレザーに……

斜めストライプのネクタイには……K高の校章が入ってる。



男子は学ランの、この高校で

K高の制服はとても目立つ。



高校名の書かれた、門の前


通りすぎる生徒達が振り返る。


「う、え……ど、どうしたの?」

「早く終わったから、迎えに来ちゃった」


快晴くんは、私の手からバッグを取ると

バンッと自分の自転車の前カゴに入れた。



「めっちゃ見られたわ」

「うん、目立っよ、そりゃあ」

「今も、目立ってる……」

「本当だ、もう、恥ずかしいよ」


「はは!彼氏K高!?とか、言われるな」

「………うん」

「ヤだった?」


嫌な訳ない。
自慢の……彼氏だし。



「びっくりしただけ」

「作戦成功!してくれたらいんだけど」

「サプライズ?驚いたってば」

「………彼氏いるアピール」



……ふっちーと紗香みたいに?



「………私は紗香みたいにモテないよ」

「今だから言うけど……あの練習試合の時、可愛いって言われてたからな」

「………もう!練習中に何してんの」


やっぱり自分の事を棚にあげて……
私はそう言った。



「男子なんてそんなもんですー。女子とは違いまーす」

「……女子も“そんなもんですー”」

「え?そうなんだ?」

「………私は……そうだった」





「俺?」

「他に誰を見るって言うんですか」

「目、合わなかったけどなー」



相変わらず、今もそんなに目は合わせられないけど……



「今度は、K高まで来る?」

「え、ヤだよ、恥ずかしいもん」

「そうなんだよ、その制服!絶対目立つ」

「それは、そうだよ」

「レベルが高い」


「制服にレベルがあるの?」

「……なんとなく……連れて歩くの……嬉しかったり……する」



あ、今……とか?



「浅い!浅いな、俺!」

自分で言っておいて、赤くなる彼に



「行こうか?迎えに……」

そう聞くと



「いい?」


恥ずかしそうに、そう言う彼に頷いた。



だって、ほら……

恥ずかしいけれど……


“彼女いるだぞ”ってアピールにはなるかな……


なんて。



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