他校生
「うっす」

もう既に顔がひきつる。


「うっす」

私もそう返し、ふっちーの横に座った。



「一応聞く、お前彼氏いないよな?」

「いない。ふっちーは?」

「いない」



カレカノ話から入るということは、ふっちーの話も……


「俺、お前の事が好きなんだ…」


早ッ!

躊躇はないのか、コイツ。


……好き……

え?

私!?


私…………!?


「……いや、聞いてるか、お前」

「聞いてマス」

「……返事……は?」

「ちょっと待って、急で、びっくりして、信じられなくて!!」


「ん、じゃあ……考えといて」


「何を?」


「俺の、彼女になるか、どうか。じゃ、それだけ……」


立ち上がるふっちーを必死で止める。


「待って!お願い!!」


「……いや、待つけど。抱き付くなよ」


「わぁー!」


そうだ、ここまで体張って止めなくても……

全然良かっ……た


もう一度二人で座り直して


「い、今!今返事を!」

「落ち着けよ、お前」

ふっちーが困ったように笑う。


本当、落ち着けよ、私。


緊張で、涙と鼻水…


「俺、ハンカチ持ってねぇ」

「持参しとります」


涙を押さえると


「……好き。中学の時から!おんなじ高校行きたかったー!」

「分かった、分かったから」

今言わなくてもいいことも付け加えちゃったけど



言えた。


顔を隠す手をふっちーが取り払って…


近づいて来る。

恥ずかしくて目を閉じると……


そっとキスされた。



「ちょ、え!早い!慣れてる!ちょっ……」



「黙れよ、俺だって恥ずかしいだから」



近くで目が合って、ふっちーもちょっと赤い。



「あ、でも……」

この顔、本当に好き。



「何だよ……」

「もう一回」

「ん」



もう一度、目を閉じた。




「お前だって……」

「慣れてない!」

「俺だって……」


照れ臭そうに、ふっちーが目を逸らした。




今更ながら……

だけど、今だから。



一番に報告してくれた朱里に、私も一番に報告……


ダメ、恥ずかしくて無理。



ダメ、もったいなくて無理。



(はっ)ず」

「うん……」

「大学、同じとこ行くってのでどうだ?」

「うん……」



「お前、結構……静かだな」

「うん……」


恥ずかしくて、あまのじゃくが飛んでった。



「ふっちーだって……」

「まぁ……彼女にしか見せない(とこ)も…あるよな」



今の顔……とか。


「お前は、そっちの制服似合ってる」

「ふっちーの学ランも」



サヨナラ、あまのじゃく。

今日からは素直になるね。




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