この男、危険人物につき取扱注意!
翌朝、蝉の鳴き声で目を覚ました千夏は、隣で寝ていた春樹がいない事は気にはなったが、心配してるであろう母に先に電話をかける事にした。
「もしもしお母さん?」
『あら、千夏おはよう?今日も暑くなりそうね?』
(娘が突然ヤクザと偽装結婚したと言うのに、この呑気な挨拶で良いの?
私の事、怒って無いの?)
「あの…誕生パーティーは帰れなくてごめんなさい。
それから…結婚の事なんだけど…相談も無しに勝手に決めてホントごめんなさい…」
『そうね…
親としては相談して欲しかったかな?
でも、千夏は小さい頃から頑固だったし、こうと決めたら突き進む娘だから…
それに、あんな素敵な社長さんだもの千夏が好きになるのも分かるわ?』
「え?
お母さん、うちの社長に会った事あったっけ?」
『千夏が入社する時、お兄ちゃん達反対してたでしょ?
その時、家にも態々挨拶に来て下さったのよ?』
(え、そうだったの…?
外でお兄ちゃんと三人で会ったって聞いてたから…
まさか、家にまで行ってたなんて…知らなかった…)
『千夏の人生だし、千夏が選んだ人ならママは反対しないわ?パパも同じ気持ちの筈よ?
でも、パパは昨夜はショックでなにも食べれなかったけど』
(お父さん…ごめんね?
でも、本当に私が結婚したらどうなっちゃうのかな…?ウフフ)
「やっぱりお兄ちゃん達は怒ってたよね…?」
『琢ちゃんは、機嫌悪そうにしてたけど何も言って無かったわね…伸ちゃんは凄く怒ってたわよ?』
(そうだよね…怒って当然だよね…
折角美味しいもの作って待っててくれたんだもん…
でも…琢兄は何も言ってなかったんだ?
ちょっと意外…)
「お兄ちゃん達にも、ごめんなさい。って言っといて?」
『皆んな貴女の幸せを願ってるのよ?
困った事が有ったら、いつでも相談するのよ?
いいわね?
誕生日のお祝いは、またこんどお祝いしましょ?
その時は彼も一緒に!』
「…うん。ありがとう…」
『あ、お母さん今から町内会の集まりがあるから電話切るわね?』
「うん」
『あっ、ボブおじさんがベビー用品一式送るから買わなくて良いですって!
じゃあね?』と、一方的に切れてしまった。
(えっ⁉︎
もう、ボブおじさんまで話が言ってるの?
ベビー用品一式って…なによ…
え?もしかして…ボブおじさん…
私が出来ちゃった結婚だと思ってるの??
ウソやだ…これが偽装結婚ってバレたら…マジでヤバイよ…どうしよう…)