この男、危険人物につき取扱注意!
「ねぇ、見つかりそう?」
「この辺りの段ボール箱に入れた筈なんですけど…
おかしいなぁ…」
(しかしこのお屋敷…凄く広いしこんな立派な蔵はあるし、時代劇に出てくるお武家さんのお屋敷みたい。
もしかしたら、この中に凄いお宝があったりして?ウフフ)
「ねぇ?
ここって、昔のお武家さんのお屋敷みたいだよね?
凄く広いし、こんな立派な蔵まであってさ?」
「ええ。そうらしいですよ?」
(嘘っ)
「よくは知りませんけど、元はお武家さんの屋敷だったって前に聞いた事あります」
(マジ…腹黒蛇組の先祖はお武家さん…なの?
で、なんで今は極道…なの?)
「ねぇまだ、見つからない?」
入るのを躊躇していた千夏だが、探すのを手伝おうと石段を上り足を一歩踏み入れると、再び冷たい風が拒むかの様に千夏の身体を押し返した。
「キャッ!」
「大丈夫ですか⁉︎」
「あ、うん。大丈夫」
(え⁉︎…また…
空気が動いた…?きっと…そうよね…
それにしても…凄い荷物…)
「なんか沢山有るけど、何が置いてあるの?」
「上には上った事無いんで、何が有るか分かりませんけど、下は亡くなった姐さんの荷物と、若頭の物と…あとは保存食なんかが少し有ります」
(じゃ、この桐の箪笥は…
チーフのお母さんが、ここへ嫁ぐ時に持って来た物かしら?
チーフもこの事知ってるのかな?)
蔵の中には桐箪笥と行李が幾つも置かれていた。 *行李とは、今で言う衣装ケースの事*
段ボール箱などには埃が被っているが、ずっと置かれていた筈のそれらには、一切埃は被っていなかった。
「ここへは良く入るの?」
「たまに組長は入ってるみたいですけど、俺達は一年に一度、姐さんの着物を虫干しする時くらいですかね?」
(亡くなった奥さんの着物、今も大切にしてるんだ…
組長さんの愛の深さを感じるなぁ)