この男、危険人物につき取扱注意!
今もなお亡くなった妻を愛する組長の想いを知った千夏は、自分の愚かさを恥じていた。
「じゃ、達也さん達も着物畳めたりするの?」
「いいえ、全く出来ません。
俺達はここからその行李を出すだけで、後は専門の方にお願いしてます。
姐さんが亡くなった翌年までは、組長が全てやってたんですけど…体調崩してからは付き合いのある呉服屋に来てもらってます」
「そうなんだ…」
(きっと、誰にも触らせたく無かったんだろうなぁ…)
「食事の時に使ってる居間から、組長の部屋まで襖を全て開けて、衣桁と着物用のハンガーを鴨居に掛けて姐さんの着物を全て吊すんですけど、これが凄いんですよ!」
真司は興奮気味に、その様子を話して聞かせた。
「花や蝶が屋敷中に舞ってるみたいで、男の俺が観てもあまりの美しさに言葉が出なくなります」
(綺麗なんだろうなぁ…
着物って言ったら浴衣くらいしか着たことないなぁ…
あ、七五三の時お母さんに着せてもらったか?)
真司の話に、千夏が観てみたかったと言うと、今年はまだ行って無いと言った。
「達兄、今年はいつやるんですかね?着物の虫干し!」
「さぁな?
でも、そろそろじゃないか?
組長が業者に電話してたって聞いたし?」と達也が言うと、
「じゃ、今年は姐さんも観れまね?」と真司は千夏に向かって話した。
「あ、姐さんって言った!100円ね!」
「あ、やっちまった…」
「「アハハ…」」
三人は大きな笑い声を上げた。