この男、危険人物につき取扱注意!
施設で育った千夏は、社会人になる際、兄達と一緒に居たと聞いてる施設を訪れた事があった。
それは、千夏の中でのケジメとして、本当の親はどんな人なのか知りたかったからだ。
育ての親である小野田夫妻にはなんの不満も無かったが、ただ、どんな人でなぜ施設に預けなければいけなかったか、それだけが知りたくて施設を訪れていた。
兄、琢磨に教えて貰った施設は、屋根がとんがり帽子の様でとても可愛いらしい建物で、園庭には沢山の遊具が置かれ笑顔で走り回る子供達で賑やかだった。
小さな子を大きな子が面倒見て、一緒に楽しそうに遊んでいた。
そこへ来る迄の道のりは遠く、何度も電車を乗り継ぎやっとの思いで最寄駅へと到着したが、緊張と不安で胸が押し潰されそうになり、改札口をなかなか出られず引き返そうとも思った千夏だが、子供達のその姿を見た千夏の心は温かくなっていた。
(楽しそう…
私も、お兄ちゃん達とこの園庭を走り回ったのかな…)