この男、危険人物につき取扱注意!
数時間後、無心に仕事してる千夏のデスクの電話が鳴った。
「はい、スポーツ部小野田」
『あ、小野田さん?』
ん?…誰?
「…はい…小野田です…けど?」
『あーやっぱり分からないかな?』
(え?だれよ?
忙しいんだから悪戯なら切るよ?)
電話は内線表示になっているが、全く心当たりの無い声に千夏は悪戯かと思い、受話器を耳から離しかけたその時、
『代々木代です』
(よよぎだ…?)
『一応DOYの副社長をさせて貰ってる代々木代です』と聞こえてきたのだ。
(…えっ⁉︎ 副社長??)
『あっ、あんまり驚かないでね?
他の人に知れると面倒だから?』
「は、はい!」
(驚くなって言われても、普通驚くでしょ?
でも、なんで直々に私なんかに電話してくるの…?
てか、よく私のデスクの番号わかったね?)
副社長である代々木代と上司の木ノ下が、大学の先輩後輩の仲だと言う事は、既に社内でも周知の事ではある。勿論、千夏も知ってる事ではある。
だからと言って、今迄副社長自ら電話をかけてきた事は無かった。
もし、掛けてきていたとしても、その時は木ノ下のデスクの電話に掛けていただろう。
『しゃ…木ノ下君ってそこに居る?』
(え?チーフ…?)
千夏は部署内を見渡すが、そこに木ノ下の姿は見つから無かった。
(さっき迄居たはずなのに…
また、どっかでサボってんの??
ナニが帰ってもも良いだ⁉︎
よく言えたもんだわ!)
千夏は隣の嶋田に木ノ下の事を聞くと、さっきタバコを持って出て行ったと言う。
「すいません。只今席を外してまして…
お急ぎでしたら探して参りますが…?」
『いや、自分で探すから君は気にしなくて良いよ?
ありがとう』と言って電話は切れてしまった。
(気にしなくて良いって言われても、気にするでしょよ?)
既に切れてしまった受話器を置くと、千夏は木ノ下を捜しに部署を飛び出して行った。