この男、危険人物につき取扱注意!
千夏から電話を代わった木ノ下は、低い声で「なんだ?」と話した。
だが、電話の内容は余程難しい話なのか、木ノ下はチラッと千夏を見ただけで何も言わず、少し考えてる様だった為、千夏は自分が側に居たら話し辛いのかと思い自分の仕事に戻ろうとした。
だが、離れようとした千夏の腕を木ノ下は掴むと、「許可して良い」と一言言って電話を切った。
そして木ノ下は『客だ、うさぎもついて来い』と言った。
(え?…なんで私が?)
自分には関係ないと腕を払い立ち去ろうとするが、木ノ下の掴む力は思ったより強く、千夏はそのままエレベーターの中へと連れ込まれてしまった。
そして、千夏が逃げ出すのを阻止するかの様に、閉ボタンを押すと、木ノ下は直ぐさまカードキーを差し込み最上階のボタンを押した。
そして、エレベーターは静かに上へと上昇始めた。
「痛いっ!
手を離して下さい‼︎
なんで私が付いて行かなきゃなんないのよ⁉︎」
「うさぎの客でもあるから」
(私にも関係したお客って事? 誰…?)
社長としての木ノ下と、平社員の自分に関わりのある人物を、千夏は頭の中で考え絞り込んでいた。
(篠原教授?
もし、篠原教授だとして、副社長があんなに慌てるだろうか…?
じゃ、他に誰?
あっ!話すの忘れてた!
でも…なんか話しづらいなぁ…
でも、もしもの事があってからじゃ…)
千夏は、数時間前自分に起きた事を木ノ下に話そうとしたが、身分を隠していた事がどうしても気になって、言い出せずにいる。
「チーフじゃなくて社長…」
「今迄通り、うさぎはチーフで良い」
「社長と知って、チーフなんて呼べませんよ!
そんな事より話が!」
「話しなら後で聞く」
「後だと手遅れになるかもしれないんです!」
木ノ下のマンションを出て社に戻る際、社員の目を気にして木ノ下と時間を空けて出社するとこにした千夏は、用もないコンビニに寄ったのだが、そのコンビニを出たところで、人相の悪い男達に囲まれ連れ去られそうになった。
その事を木ノ下に千夏は話した。
「なんで直ぐ言わなかった⁉︎」
いつもに増し眉間にシワを寄せ恐怖を与える木ノ下を、千夏は気にせず話を続ける。
(だから今言ってるじゃない!)
「まぁ人違いだった様ですし、私としてはなにも問題無いんですけど、ただ…出てきた名前に聞き覚えがあったんで、ちょっと気になって…」